電気のトラブルの原因を簡単に発見する道具として、デジタルマルチメータ(テスター)は強力なツールの一つです。デジタルマルチメータ(テスター)は電圧、電流、抵抗その他を1台の機器で測定できる測定器です。デジタル式のテスターは簡単に使えますので、一家に一台備えていろんな電気のトラブルの場面で活用しましょう。
- デジタルマルチメータ(テスター)で何ができるんですか?
- テスターにはアナログ式とデジタル式があります
- なぜSANWA PM3デジタルマルチメータを選んだのか
- デジタルマルチメータSANWA PM3は小型・軽量・薄型です
- デジタルマルチメータSANWA PM3で測定できること
- SANWA PM3の各部の名称と測定項目の選択スイッチ
- 測定例1 交流電圧 作業用LED電球が点灯しない。 延長コードの問題? LED電球の問題?
- 測定例2 直流電圧の測定例・・新しい電池と古い電池の電圧測定
- 測定例3 太陽光パネルの電圧測定例(直流電圧)
- 測定例4 自動車のシガーライターの電圧測定(直流電圧)
- 測定例5 ヘアドライヤーを使うとテーブルタップの電圧が下がります
- 測定例6 RELATIVE(リラティブ)スイッチで電圧が下がった分を測定
- 測定例7 導通の測定 電気を通す材料と電気を通さない材料の測定
- 測定例8 延長コードの断線…導通測定で原因究明
- 測定例9 抵抗器の抵抗値測定
- 測定例10 データホールド機能
- 測定例11 低周波の電圧、周波数測定、デューティー比の測定
- 測定例12 コンデンサの静電容量測定
- 測定例13 ダイオードの良否テスト
- おわりに
デジタルマルチメータ(テスター)で何ができるんですか?
”停電していなにのに延長コードに差し込んだヘアドライアが動かない”なんてことを経験してませんか?こんな時デジタルマルチメータ(テスター)があると電源側の問題かヘアドライアーの問題か簡単にわかります。
壁コンセントに電圧がでているのに、接続した延長コードに電圧がでてない原因も,デジタルマルチメータ(テスター)があれば簡単にわかります。
その他いろんな電気のトラブルの解決に、デジタルマルチメータ(テスタ)が役に立ちます。
こんな便利なデジタルマルチメータ(テスター)をサイト運営者所有のSANWA PM3を使用し、詳しく解説しますので、電気の問題解決にお役立て下さい。
電気は感電・火災など取り扱いに注意が必要です。デジタルマルチメーターを使って電気を測定する場合、デジタルマルチメーターの取り扱い説明書を熟読し、安全に気を配り、自己責任でお願い致します。
テスターにはアナログ式とデジタル式があります
大きく分けて、測定結果を機械式のメーターで表示するアナログ式と測定結果をデジタル表示するデジタル式があり、測定項目が多い高機能型と測定項目が限定された使いやすい簡易型に分けられます。

写真がアナログ式テスターの例とデジタル式テスタ(デジタルマルチメーターSANWA PM3)の例です。写真のデジタルマルチメーターPM3は手のひらサイズでシャツの胸ポケットに入る携帯性抜群のデジタルマルチメータです。
アナログ式とデジタル式の表示の例です


アナログ式とデジタル式の表示の例です。屋内コンセントの電圧を測定した例です。アナログ式テスターの表示例で動いた針の下に表示されている文字を見て、選択した測定レンジからおよそ100Vと解りました。デジタルマルチメータの表示例で、測定レンジは自動で切替わりますので、測定結果が数値で101.4Vと表示されました。
アナログ式テスターは、電圧や電流などの値が記された文字盤の上を測定結果に従って針が動き、停止した針の位置に表示された文字盤の値を読み取ります。アナログ式テスターは、針が動いて停止した位置で、文字盤に記載された数値を読み取るため、読み取りの煩わしさや読み取りの誤差などのデメリットがあります。
一般的にアナログテスターは測定するデータの大きさを予測して、測定レンジをスイッチで切り替える必要があり、煩わしさがあります。
測定レンジを間違えて、電流レンジで電圧を測定するとメーターが破損する可能性などがあります。
写真のデジタルマルチメータPM3は測定レンジの切り替えの必要のないオートレンジで、測定値はデジタルで表示されます。(PM-3は超薄型多機能コンパクト型のため電流その他測定できない項目があります。)
なぜSANWA PM3デジタルマルチメータを選んだのか
サイト運営者が物心ついた時、我が家にはSANWAのP-3というアナログテスターがありました。三和電気計器株式会社のホームページの企業情報・沿革には以下の記述があります。
「1955年(昭和30年)12月 中小企業庁よりP-3型回路計が「輸出振興賞」に表彰される。」と。
70年も前に輸出振興賞を受賞する機器を製造するメーカーに対する信頼度は高く、迷わずSANWA PM3を選びました。 詳しくは下記リンクを参照下さい。
沿革 | 三和電気計器株式会社
デジタルマルチメータSANWA PM3は小型・軽量・薄型です


デジタルマルチメータPM3はシャツの胸ポケットに入るサイズで、手のひらサイズの超薄型多機能コンパクト型です。
デジタルマルチメータSANWA PM3で測定できること
- 直流電圧:電池やバッテリーの電圧や、直流回路などの直流の電圧を測定できます。
- 交流電圧:室内のコンセントや、電気機器内の正弦波交流電圧を測定できます。
- 抵抗:抵抗器、ヒーターのニクロム線や回路などの抵抗を測定できます。
- ダイオードのテスト:シリコンやゲルマニュームなどのダイオードの良否を測定できます。
- ブザーによる導通テスト:延長コードなどの配線の導通確認や選定ができます。
- コンデンサの容量:コンデンサの静電容量を測定できます。
- 周波数:屋内のコンセントの交流100Vなどの周波数を測定できます。
- デューティー:交流波形のデューティー比を測定できます。
- 測定した値を基準にしてその値に対して差の値を表示できます。
SANWA PM3の各部の名称と測定項目の選択スイッチ

測定例1 交流電圧 作業用LED電球が点灯しない。 延長コードの問題? LED電球の問題?
正常動作:
作業用LED照明器具を延長コードに接続し、電源スイッチをONするとLED電球は点灯し、OFFするとLED電球は消灯します。
異常動作:
電源スイッチをONしてもLED電球は点灯しません。

交流電圧の測定:
異常動作でLED電球が点灯しなかったので、延長コードの電圧をデジタルマルチメータで測定してみました。デジタルマルチメータPM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、テストピンを延長コードに挿入します。
電圧0.009Vと測定され、公称電圧は100V(許容電圧範囲95-107V)ですので、延長コードには所定の電圧がでていないことが解りました。延長コードのプラグが壁コンセントから外れていました。

交流電圧の測定:
正常にLED電球を点滅できた時の延長コードの電圧は103.0V(許容電圧範囲95-107V)と正常でした。
測定例2 直流電圧の測定例・・新しい電池と古い電池の電圧測定

直流電圧とは電池などの+電極と-電極の間の電圧です。
写真は新品の単四型アルカリ乾電池の電圧を測定している例です。
PM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、赤のテストピンを電池の+側に接触させ黒のテストピンを電池の-側に接触させると電圧が測定され、1.601Vとデジタル表示されました。テストピンの赤を-側に接触させ、テストピンの黒を+側に接触させると、測定値に-の表示が付きます。

使い古した乾電池の電圧を測定しました。電圧は1.049Vと公称電圧の1.5Vより大幅に低下していることが解りました。
測定例3 太陽光パネルの電圧測定例(直流電圧)


バイクのバッテリーを充電する小型の太陽光パネルの電圧を測定しました。PM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、太陽光パネルの出力ケーブルの赤線と黒線にそれぞれテストピンの赤と黒を接続し測定し、電圧は20.11Vでした。
撮影は初夏で晴天の15:00頃です。
バイクのバッテリーの充電にはバッテリーに合った電圧に変換する機器が必要です。

上記と同一条件で、太陽光パネルを白紙で覆った場合の出力電圧を測定してみました。2.114Vと大幅に電圧は低下しました。
両測定とも測定にはテストピンの先端に差し込むワニ口クリップを使用しました。
測定例4 自動車のシガーライターの電圧測定(直流電圧)

自動車の車内に備わっているシガーライターの電圧を測定してみました。PM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、赤のテストピンをシガーライターのソケット内中央の電極に接触させ、黒のテストピンをソケット内の円筒形電極に接触させて測定しました。自動車のバッテリーの電圧とほぼ同じ12.69Vでした。

シガーライターソケットにUSBに変換するアダプターを差し込んでUSBの電圧を測定すると5.17Vに変換されました。
(テストピンがUSBのケースに接触しないようUSB端子内側面に絶縁用に紙を挟んであります。)
測定例5 ヘアドライヤーを使うとテーブルタップの電圧が下がります
ヘアドライヤーのような比較的大きな電力を消費する機器をテーブルタップに接続すると、コンセントや延長コードの電圧は下がります。交流電圧の測定なので、PM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、赤と黒のテストピンをテーブルタップに挿して測定。ヘアドライヤーのスイッチを入れる前は延長コードの電圧は103.8Vでしたが、スイッチを入れると98.8Vに電圧が下がりました。(注意:ヘアドライヤーに取りつけた糸は撮影用です。絶対に真似をしないで下さい。)
測定例6 RELATIVE(リラティブ)スイッチで電圧が下がった分を測定


測定例5の方法でドライヤーをOFFの状態でテーブルタップの電圧を基準電圧として測定し103.5Vでした。
RELATIVE(リラティブ)スイッチを押してドライヤーをONした状態の電圧を測定します。基準の電圧(ドライヤーOFF時の電圧)との差の電圧が表示されました。-5.2Vと表示され、5.2V電圧が下がったことがわかりました。
(注意:ヘアドライヤーに取りつけた糸は撮影用です。絶対に真似をしないで下さい。)
測定例7 導通の測定 電気を通す材料と電気を通さない材料の測定
デジタルマルチメータPM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、
スイッチで
を選択します。
屋内配線用に広く使用されているVVFケーブルの銅線部分に赤黒のテストピンを銅線に接触させると、ピーというブザー音が鳴り導通がある(電流が流れる)ことを示します。
上記と同じ測定モードで振動防止用のブチルゴムを測定してみました。ブチルゴムは絶縁性が高く電流は流れないので、赤黒のテストピンを接触させてもピーと音が鳴らないので導通がないことが解ります。
測定例8 延長コードの断線…導通測定で原因究明
テーブルタップに電圧が出ません。こんなトラブルはデジタルマルチメータの導通測定で原因を探ります。
デジタルマルチメータPM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、
スイッチで
を選択します。赤のテストピンと黒のテストピンを接触させるとブザー音が鳴り導通があることが解ります。動画でわかるように延長コードの配線の片側に導通がありません。

導通の測定で片側の配線に導通が無いことが解りましたので、プラグのネジを外して中を見ました。写真の赤丸のように配線が断線していることがわかりました。
測定例9 抵抗器の抵抗値測定

エレクトロニクス機器には不可欠な部品の抵抗器(抵抗とも呼ばれる)は、電車に搭載されるような大型の物からパソコン基板に実装される超小型のものなど数多くの品種があり、電流を制御するなどの目的で幅広く使用されています。
デジタルマルチメータで抵抗の抵抗値を測定

電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、テストピンにワニ口クリップを挿して、抵抗器の両端を赤と黒のワニ口クリップで挟んで測定。291.1kΩと測定されました。
測定例10 データホールド機能
ラップトップPC用のACアダプターの出力電圧を測定しました。PM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、赤のテストピンを出力端子の中心に接触させ黒のテストピンを出力端子の外側に接触させると電圧が測15.27Vと表示されました。データホールドスイッチを押すとテストピンを外しても表示が保持されます。
測定例11 低周波の電圧、周波数測定、デューティー比の測定
低周波発信機で1kHzの低周波を出力し、その電圧、周波数、デューティー比を測定しました。PM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせテストピンを発信機の出力に接続すると1.000Vの電圧が測定され、Hz/DUTYのスイッチを押すと、周波数1.006kHzが測定され、さらにHz/DUTYのスイッチを押すとデューティー比が47.8%と測定されました。
測定例12 コンデンサの静電容量測定
デジタルマルチメータPM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、
スイッチでAUTOを選択するとnFが表示されます。
RELATIVEスイッチを押して、テストピン(ワニ口クリップ)をコンデンサの電極に接触させます。
コンデンサに記載の値は104K(0.1μF)で測定値は101.7nF(0.1017μF)でした。
測定例13 ダイオードの良否テスト

デジタルマルチメータPM3の電源スイッチ兼ファンクションスイッチをに合わせ、
で
を選択します。
テストピンを開放している時の表示を確認しておきます。
ダイオードのカソード側に黒のテストピンを、アノード側に赤のテストピンを接触させます。(テストピンにワニ口クリップを介して接触させます。)
表示器にダイオードの順方向電圧降下値0.455Vが表示されました。

テストピンの赤と黒を入れ換えると、テストピンを開放した時の表示と同じ値となりました。
これでダイオードが正常であることが確認できました。
おわりに

さいごまで御覧いただきありがとうございました。
デジタルマルチメーターを使って電気に親しんでいただき、電気の問題解決のお役に立つことを願っております。